FLAT-OUT 脳出血で倒れて

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群がり堕ちる星たちが、
まるでナイフのような薄い唇で、
別れの言葉を囁く。
あと数時間で夜が明ける。
あと数時間で闘いが始まる。

 

 








 

 5月最終の日曜日、山梨医大付属病院は見舞いの人々で込み合っていました。私もその中の一人で、心臓を患い入院していた父親の容態を看に、自宅から程近いその病院に徒歩で向かったのです。春といっても非常に暑く、額には汗が出ていたことを覚えています。病院の中はエアコンをかけていないのか、患者のために設定温度が高いのか解りませんが、外気よりむしろ暑いくらいでした。エレベータを待つ人々を横目にして私は階段を選び、「あの人達よりも先に着いてやるぞ」という子供の気分で、2段抜かしで4階までいっきに行ったのでした。目論見は達成できたのですが、それから5分後、まさか担架で運ばれようとは思いもしませんでした。
 フロアーの自動販売機でコーヒーを出して、テーブルで父親と話をしていたのですが、手に持っていた紙コップが変な感覚で突然テーブルの上に落ちてしまいました。近くにあったティッシュで拭こうと立ち上がった瞬間、「あれ?」転んでいたのです。なんとか立ち上がろうとしましたが、体が思うように反応してくれず、うつ伏せ状態になってしまい困りました。程なく異変に気づいた父親が、看護師さん数名を連れてきてくれたのですが、次第に薄れ行く意識の中で何を思ったのか、“死の恐怖”とは違ったモノだった気がします。