FLAT-OUT 脳出血で倒れて

ホーム > その時から > 天使と悪魔A




 

 天使と悪魔A
 看護師さんは 患者を看てほしい。その看護師さんは身内にはあまり評判は良くなかった。患者という立場を外し客観的観点から見て、同僚や先輩看護師からも冷遇されていたと思う。それは「白衣の天使」のイメージにそぐわないからだ…容姿が。(ごめんなさい) 束ねた髪は茶髪というより赤に近い。あまり笑わないし返答もつっけんどん。ヤンキー看護師とでも言おうかぁ…。歳の頃は25くらいか。たびたび先輩看護師から注意されている。「そんなことをやっている場合じゃない」とか「そんなことをやれとは言っていない」とか「そんなことはあなたの仕事じゃない」とか。彼女に付けたあだ名は‘そんなこと’さん。(頭の中だけど)
 彼女は少し時間があれば、喋れない私のリハビリを手助けしてくれた。ひらがな表を指し発音練習に付き合ってくれた。 そんなに笑わないけれど…とても優しかった。的確な言葉で答えているのかは解らなかったが、私に就いた看護学生の悩みを聞いてあげていた。‘そんなこと’さんは一番だった。

 
 次の病院に移る前日、発音練習に付き合ってくれたのが最後だった。途中で先輩看護師に例の「そんなこと…」と言われ他の仕事に就いた。当日は遅番で会えなかったが、〜あなたが病院に居てくれて感謝します〜 と言いたかった。(喋れないけどね)
 
 先輩看護師は正しいと思う。仕事とは、構想があり計画があり、絶えず進捗を考慮し、それを遂行するものだ。この病院の看護師たちは(一部を除いて)素晴らしいと思う。 何年か経って‘そんなこと’さんが先輩看護師になって、後輩の指導や思い通りの看護が出来ると更に良いよね。そういう若い看護師がこの病院には沢山いた。